トレブル | C19 | 250pF 1kV |
セラミック ディスク |
ミドル | C23 | .0470μF 400V |
メタライズド ポリプロピレン |
ベース | C24 | .1000μF 400V |
メタライズド ポリプロピレン |
プリアンプ カップリング |
C4 | .0220μF 400V |
メタライズド ポリプロピレン |
リヴァーブ カップリング |
C3 | 500pF 1kV |
メタライズド ポリプロピレン |
C13 | .0033μF 400V |
メタライズド ポリプロピレン |
|
フェイズ インヴァーター インプット |
C14 | .0220μF 400V |
メタライズド ポリプロピレン |
アウトプット カップリング |
C10 C16 |
.1000μF 630V |
メタライズド ポリプロピレン |
リヴァーブ バイパス |
C5 | 10pF 1kV |
セラミック ディスク |
コンデンサの交換がもたらす音質の変化は微々たるものです。すべて交換してもスピーカーの交換のように劇的な効果はまったく望めません。リークしているコンデンサを交換するのは大いに意味がありますが、そうでない場合はよく考えて実行する必要があります。特にアンプ直でなくエフェクト・ペダルを補助的に用いて音作りするプレーヤーにとってはコンデンサの交換による音質のグレードアップはほとんど意味がないでしょう。
また、プリント基板上のハンダ作業は銅線に損傷を与えるリスクがあるので、できればやりたくない作業です。今までフェンダーのリイシューの回路を改造していて実際に損傷させた経験はありませんが、いつも非常に神経を使います。コンデンサの交換によって音質がどれだけ向上するかと、その作業におけるリスクを天秤にかけて考える必要があります。
セラミックディスクには高域特性がよく信頼性が高いシルヴァーマイカへの交換が定石で、クローンもシルヴァーマイカの使用率が高いです。ただ、リイシューでは耐圧1kVというかなり高耐圧のものが使用されており、これは耐圧500Vのものより信頼性が高いことを意味するので、信頼性の点からは交換の必要はないように思えます。音質の違いについては下記の記事の最終部分に詳しいです。
http://www.vintagefenderamprepair.com/a-word-on-cap-jobs
ただし最近のセラミックディスクとヴィンテージのものでは音質にかなり差があるという意見もあるので、そのあたりも加味して検討したほうがよさそうです。近年Fender自体がヴィンテージトーンと謳ってリキャップ用に販売しているコンデンサはすべてシルヴァーマイカになっています。
Xicon製メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ(以下MPP)は、近年のリイシューに広く採用されています。採用の理由は、プリント基板上に収まりのいい小さなサイズであること、安価なこと、不良品が少ないこと、音質的には温かみも感じられ音抜けもそこそこいいということが考えられます。ビルダーやリペアマンのあいだでは、Xiconはなかなか評価が高く、もっと高価なコンデンサとの音質の違いは指摘されるものの、劣っているとの評価は意外に少ないです。Fenderも相当なブランクを経てリイシューを設計する際、CBSが回路を改悪し音質を犠牲にしてコストダウンを図った70年代のシルヴァーフェイスへの反省をある程度踏まえ、コストの問題でPCBに搭載しなければならないという制限はあったとしても、かなりの実験を行ったうえでXicon MPPを採用しているはずです。実際、シルヴァーフェイスに採用されているチョコレートブラウン色のコンデンサと比べると、すべてにおいてXicon MPPのほうがかなり勝っていると言えるでしょう。オリジナルのブラックフェイスとシルヴァーフェイスにおけるコンデンサの品質の差に比べると、オリジナルのブラックフェイスとリイシューの差はだいぶ小さいと思われます。もしXicon MPPのままでも自分にとってよい音だと思えるセッティングが出せるなら、コンデンサのグレードアップは特に必要ないと思います。
MPPの音の路線をキープしながら音の輪郭をもっと明瞭にしたい場合は、Orange Drop 716Pへの交換が総合的に見てベストな選択肢となるでしょう。ただし高域が耳障りと感じるプレーヤーも少なくありません。また、プリント基板に収めるには大き過ぎるサイズなので、基板をハンドワイアード化しないかぎり交換には工夫が必要です。足の取り回し、足への熱収縮チューブの装着などを工夫して、周囲としっかり絶縁する必要があります。そのほかの選択肢としてもっとも人気があるのはMallory 150sです。ブラックフェイスよりツイードに向くと言われることが多いですが、ブラックフェイスに好んで採用されているケースもかなり多いです。Orange DropよりもLo-Fiな音質ですが、メローでスムースな音楽的特性で人気があり価格も安めです。あるいはブリティッシュ系アンプに向くと言われているSozo Mustardもしばしば好まれますが、価格とサイズ面でリイシューに搭載するのは難ありでしょう。同じくSozo製のBlue Molded(オリジナルのブラックフェイスに採用、当時としてはエコノミークラス)レプリカ、Fender製のBlue Moldedレプリカも存在しますがこれらも同様の理由で現実的には選択肢とならないでしょう。