電解コンデンサ

電解コンデンサの寿命は使用環境によっても大幅に変わってきますが、10年に一度は新品に交換したいところです。電解コンデンサは使っていても使っていなくても、内部の電解質溶液が徐々に蒸発し容量抜けを起こすからです。また、容量抜けの速度を遅くするためには、アンプは高温になる場所に置かないこと、また、定期的に電気を通してやることが大事です。

電解コンデンサの劣化の聴覚的診断方法ですが、アンプに何もプラグインせずにヴォリュームをあげ、ハムノイズが一定でなく波打つように聞こえたら、電源部分の1つ以上の電解コンデンサの劣化が疑われます。また整流管の劣化も考えられます。視覚的な診断方法としては液漏れや膨張などの現象が起きていないかをチェックします。エコノミークラスの電解コンデンサの場合、不良品による著しい短寿命も見られます。最近のフェンダー・アンプでは電源部にIllinois製の電解コンデンサが使用されており概ね品質の評判はよいですが、稀に不良品の報告もあります。

プリンストン・リヴァーブ・リイシューには以下のとおり11個の電解コンデンサが使用されています。

電源部
フィルター
C26、C27、
C28、C29
22μF
500V
アキシャル
カソード・バイパス C1、C2、C7、
C8、C9、C18
22μF
25V
アキシャル
バイアス C25 100μF
100V
ラジアル

リイシューの電源部フィルターにはIllinois製の22μF/500Vが採用されていますが、ドイツ製のF&Tが高品質でIllinois製と価格も大差なく代替品としての採用実績がもっとも多いです。オリジナルやシルヴァーフェイスのリキャップやクローンで好まれているSpragueのAtomはサイズの問題がありリイシューのPCBには搭載が難しいです。

リイシューのカソード・バイパスにはNichicon製の22μF/50Vが用いられています。オリジナルやシルヴァーフェイスのリキャップ、クローンやリイシューのハンダワイアード化には25μF/25VのSpragueのAtomが好まれますが、Hoffman Amplifiersのサイトでは価格がNichikon製の4倍ほどするうえ音質は同等なのでNichicon製を勧めています。海外ではアキシャル型のNichicon製の22μF/50Vを扱っている店がいくつかあるのですが、日本では意外に入手難です。Nichicon製の22μF/35V(アキシャル)が秋月電子で、またVishay/BC Components製の22μF/50V(アキシャル)がGarretaudioで入手可能です。

電解コンデンサが本来の音質を発揮するまでにはエイジングが数十時間必要です。