電解コンデンサの劣化の聴覚的診断方法ですが、アンプに何もプラグインせずにヴォリュームをあげ、ハムノイズが一定でなく波打つように聞こえたら、電源部分の1つ以上の電解コンデンサの劣化が疑われます。また整流管の劣化も考えられます。視覚的な診断方法としては液漏れや膨張などの現象が起きていないかをチェックします。エコノミークラスの電解コンデンサの場合、不良品による著しい短寿命も見られます。最近のフェンダー・アンプでは電源部にIllinois製の電解コンデンサが使用されており概ね品質の評判はよいですが、稀に不良品の報告もあります。
プリンストン・リヴァーブ・リイシューには以下のとおり11個の電解コンデンサが使用されています。
電源部 フィルター |
C26、C27、 C28、C29 |
22μF 500V |
アキシャル |
カソード・バイパス | C1、C2、C7、 C8、C9、C18 |
22μF 25V |
アキシャル |
バイアス | C25 | 100μF 100V |
ラジアル |
リイシューの電源部フィルターにはIllinois製の22μF/500Vが採用されていますが、ドイツ製のF&Tが高品質でIllinois製と価格も大差なく代替品としての採用実績がもっとも多いです。オリジナルやシルヴァーフェイスのリキャップやクローンで好まれているSpragueのAtomはサイズの問題がありリイシューのPCBには搭載が難しいです。
リイシューのカソード・バイパスにはNichicon製の22μF/50Vが用いられています。オリジナルやシルヴァーフェイスのリキャップ、クローンやリイシューのハンダワイアード化には25μF/25VのSpragueのAtomが好まれますが、Hoffman Amplifiersのサイトでは価格がNichikon製の4倍ほどするうえ音質は同等なのでNichicon製を勧めています。海外ではアキシャル型のNichicon製の22μF/50Vを扱っている店がいくつかあるのですが、日本では意外に入手難です。Nichicon製の22μF/35V(アキシャル)が秋月電子で、またVishay/BC Components製の22μF/50V(アキシャル)がGarretaudioで入手可能です。
電解コンデンサが本来の音質を発揮するまでにはエイジングが数十時間必要です。