電源ケーブル

日本での電源ケーブルに関する議論の加熱ぶりは近年異常なほどですが、アメリカでは何を使っても一緒という程度の認識のプレーヤーが多く、その温度差に驚かされます。日本より電圧が高く、電源環境がより安定していることが理由にあるかもしれません。いずれにしてもプリンストン・リヴァーブを日本国内で使用する場合、経験的に言ってケーブルによる音色の差はあると思います。自分がギターアンプ用に電源ケーブルを選ぶ最優先事項は、長さと太さとプラグです。ケーブルは抵抗体ですが、ある程度以上の品質のものであれば材質に起因する抵抗は問題にならない水準だと思います。そうなると長さと太さが必然的に一番問題になります。また、線材の材質や構造などによる音質の差異についても追究の余地があると思いますが、ここでは手に余るので触れません。よく話題になるプラグのメッキについてのみ言及するにとどめます。

長さ

短いほど電圧のロスが少ないですが、現実的に2メートルほどはないと現場で困ります。なので、2メートルの場合を想定して太さについて書きます。

太さ

オリジナルのプリンストン・リヴァーブよりもリイシューのほうが電源ケーブルが太く、さらにリイシューよりもリファレンスによく用いられるBeldenの電源ケーブル19364のほうが太いです。太くなるほど電圧のロスが少なく音圧があがります。あくまでもプリンストン・リヴァーブの場合ですが、スピーカーの口径に応じてケーブルの太さを決めるのがひとつの方法だと思います。10インチのスピーカーで14AWGだと飽和感が過剰で扱いづらい場合もありますし、12インチのスピーカーで18AWGだとやや物足りない感じを受けました。もちろんピッキングの強さ、演奏する曲調、ギターのピックアップの出力やセッティングなどによっても条件は変わってくると思います。

PRオリジナル 18AWG 10in向き
PRリイシュー 16AWG 10-12in向き
Belden19364 14AWG 12in向き

プラグ

メッキで音質がかわることは経験しています。

無メッキ ヴィンテージ風
枯れて落ち着いた音色
金メッキ 艶があり柔らかい音色

現在はオーディオテクニカのAT-PC600/2.0というケーブル(14AWG、24金メッキ)を使用しています。3ピンのコンセントが無いような場所でも演奏することがあるので、最初から2ピンであるのは好都合です。

電源タップ

壁コンセントに直で挿せる状況でない場合は電源タップや場合によっては3P→2Pの変換プラグを使用することになります。電源タップはFurmanのSS6-Bを改造したものを使用していますが、スイッチ、インジケーター、ノイズフィルター、サージフィルターはすべてバイパスし、圧着端子やハンダを可能な限り介さないように電源ラインを改造してあります。別途、電磁波吸着の対策も施してあります。また、変換プラグも音が劣化する要因なので、パナソニック製のタフキャッププラグという真鍮無メッキの2Pプラグに交換してあります。このプラグは日本製で品質もよく安価、圧着端子も不要な構造のため、3Pにこだわらないなら地味ながら優良な製品と言えます。シャーシ穴を少し拡大してケーブルクランプを交換すればケーブルの交換もかなり容易になるため、現場によってケーブルを交換するということもできます。FurmanのSS6-bは元々ギターアンプには相性のよいタップですが、これらの改造によって嫌なハイのきつさが解消され、素直でパワフルな音に変化しました。これによってアンプのEQのハイとローのバランスが正常になったと感じます。