抵抗

プリンストン・リヴァーブ・リイシューの抵抗には、カ-ボンフィルム抵抗と酸化金属皮膜抵抗が使用されています。オリジナルのブラックフェイスにはすべてカーボンコンポジション抵抗(CC)が用いられていましたが、これは当時それしか選択肢がなかったからです。音質、コスト、耐久性、動作安定性などから総合的に判断すると、信号ラインにカーボンフィルムかCCを使用し、電源ラインに金属皮膜抵抗を使用するのは今日非常に妥当な選択と言えます。Alessandro Amplifiersなどクローン製造やハンドワイアード化を手掛ける多くのメーカーの共通認識です。

CCは今日、真空管アンプ以外の世界では忘却されたオールド・テクノロジーであるにもかかわらず、聴覚上音が太く聞こえるような僅かなディストーションを発生させると信じられ(これは電気的には事実ですが、適材適所という条件下での話です)、ヴィンテージ・サウンドの要のひとつと目されています。逆に欠点が非常に多いことも周知の事実で、気温や経年による抵抗値の変化、抵抗値の誤差の大きさ、ノイズの発生源、短寿命などが挙げられます。メーカーとしてはオリジナルにも使用されていたNOSのAllen-Bradleyが有名で、現行では日本製の釜屋電機がスタンダードです。NOSであっても現行品であっても誤差の測定を前提に使用すること、そして数年で本来の性能を発揮しなくなることなど注意が必要です。CCをめぐってはオカルト的な言説が多いなか、以下の記事はCCの特性とそれを踏まえたギターアンプ内での使用用途について、かなり科学的な見地から書かれた記事で、ひとつの指針になると思います。

Using the Carbon Comp Resistor for Magic Mojo

逆に、ローノイズで安定した動作を望む場合には、金属皮膜抵抗へのアップグレードが有効です。耐久性という観点からはこちらのほうがよほど望ましいですが、音質的に冷たくなる、ハイがきつくなるなどの意見がよく聞かれます。それを踏まえると、信号ラインにCCよりも動作が安定しつつ金属皮膜ほど音質が冷たくないカーボンフィルムを使用し、電源ラインにはもっとも動作が安定した金属皮膜抵抗を使用するという選択が非常に理にかなったものであることがわかります。多くのメンテナンス上のリスクを踏まえたうえで、それでも音を太くしたいというプレーヤーは信号ラインのみCCに交換する意味はあるでしょう。