キャビネット
ギターアンプのキャビネットによく使用される素材を簡単に表にまとめました。さらに素材の品質や厚さが音質に影響します。主な使用アンプ | 価格 | 重量 | 音質 | 響き | 強度 | 適合用途 | |
パイン 単板 |
オリジナルBF ブティック系 クローン Vibro-King |
高 | 軽 | 温 | ライヴ | 弱 | ギター アンプ |
バーチ 合板 |
リイシューBF Marshall等 一般的な ギターアンプ |
↕ | ↕ | ↕ | ↕ | 強 | ギター アンプ オーディオ |
MDF | Hot Rod シリーズ 廉価な練習用 ギターアンプ |
安 | 重 | 冷 | デッド | 中 | オーディオ |
プリンストン・リヴァーブ・リイシューはバーチ合板です。フェンダーの公開しているスペック表によると正確には「バーチ/パイン」なので、それら2種類の合板ということでしょう。重量とキャビネットの響き方から判断すると、バーチ材の比重が多いと思われます。パインの比重が多ければ重量はもっと軽いはずですし、音質的にもバーチ合板の性格が強く出ています。
ブラックフェイス・リイシュー全般にバーチ材が採用された理由は、第一に堅牢さとコストだと思われます。これはリイシューのコンポーネントすべてに当てはまります。と言っても、フェンダーのようなオープンバック構造のアンプではキャビネットの材質の音質への影響はクローズドバックのアンプほど大きくはありません。
一方、パイン単板のキャビネットがいわゆる「フェンダーらしい音」のひとつの要素であることは否定できません。実際、クローンや現行フェンダーの最高級ラインはヴィンテージに倣ってパイン単板を用いています。しかし、リイシューをパイン単板のキャビネットに交換するとなるとかなりの投資になってしまい、改造のなかでも費用対効果はかなり低いほうだと思います。もし「フェンダーらしい音」に近づけるとするなら、バッフルボードのみの交換のほうが費用対効果が高いです。
バッフルボード
バッフルボードがバズノイズを発生させる問題についてはバックパネルの共振とバズノイズの記事を、スピーカーについてはスピーカーの記事を参照してください。リイシューのバッフルボードの素材についてフェンダーは公表していませんが、MDFで間違いないと思います。ちなみにオリジナルはパーティクルボードで、ここはリイシューのほうが品質がましです。バズノイズの問題、スピーカーの12インチ化、音楽的響きを豊かにしたいという3つの理由から、パイン合板の12インチ用のバッフルボードに交換しました。ヴィンテージのギターアンプのキャビネットのリプロダクトで評価が高いRodgers Amplifiers製のものです。そのラリー・ロジャースのインタヴューが300guitars.comに掲載されており、バッフルボード交換による音質向上についても語られています。
Larry Rodgers – Rodgers Amplifiers
個人輸入したこともあり、自作するよりだいぶ高価になってしまいましたが、ギターアンプの音響に関するノウハウも込みと思えば特に高くはないかもしれません。キャビネットへのマウントやスピーカーのマウントもボルトオンで、交換作業は短時間で済みました。エイジド加工されたグリルクロスも張られています。スピーカーも同時に換装したのでバッフルボードのみでの音質の評価はできませんが、総合的には大きく音質が向上してオープンな響きになり、演奏にもそれがフィードバックされるようになりました。